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ものと人が巡る場所。軽井沢の「過ごす」雑貨店|pace around(ペースアラウンド)

2017.6.7


「人に教えたくない店」を見つけてしまった。内緒にしておきたい気持ちと、共有したい気持ちが半々。とにかく、ずっといても飽きないのだ。目的なく訪れても一日過ごせて、お気に入りのアイテムが見つかる場所。軽井沢・御代田にある「pace around(ペースアラウンド)」は、ものとの新しい出会い方ができる店だ。


森に囲まれた、隠れ家のような雑貨店


浅間山麓の林道沿いに佇む1軒の雑貨店。カーナビが「目的地周辺です」と告げなければ通りすぎてしまいそうなくらい周囲の森に溶け込んでいる。何も知らずに通りがかった人はここが雑貨店だとは気づかないかもしれない。


「pace around」と書かれた看板を確認して青いドアを開けると、まず目に入ってきたのは大きな窓に面した土間ギャラリー。ちょうど展示されていたのは、器の作家さんの作品だった。




土間を抜けた先には倉庫のような空間が広がっていて、家具や食器、本、洋服など、さまざまなジャンルのアイテムがゆったりと置かれている。


ダイニングテーブル、食器棚、リビング、クローゼット、本棚、窓際の植物——。一つひとつのコーナーが、お店のディスプレイというよりは、ついさっきまで住人が使っていたかのような雰囲気を帯びている。それも、張り切って背伸びしている感じではなく、自然体で、「好きなものを集めたらこうなりました」という感じ。





店内をぐるりと一周してこの空間に魅了され、今度は一つひとつのアイテムを手に取ってじっくり眺めながらもう一周歩く。


100年以上前のヨーロッパの靴職人が使っていたワークベンチ、ビンテージの琺瑯ブレッド缶やミルク缶があるかと思えば、「UTO」のワークエプロン、「Ordinary Fits」のシャツ、イギリスの老舗工具メーカー「spear&jackson」の草取りフォーク、国産広葉樹から作られた「Arts Craft Japan」のカッティングボード、さらにはオーガニックのワインやソーセージなんかもある。よく見ると、洋服が置かれた什器、ギャラリーのディスプレイに使われている台にも小さな値札がついているから、これらも商品のようだ。


一つひとつのアイテムに惹きつけられて、飽きずにお店をぐるぐると歩いてしまう。気づけば1時間近く経っていた。ええと、もう店内を何周したっけ?


ものと人が循環する場所に


オーナーの山岸正明さんはイタリアの家具メーカーやhalutaなどを経て、4年前にこの雑貨店を立ち上げた。軽井沢という場所を選んだのは、豊かな自然と、この地に暮らす人々の上質なライフスタイルに触れたいという思いからだそう。店名の「pace around」は「歩き回る」という意味。その店名のとおり、私は歩き回ってしまったわけだ。



「目指しているのは、『ものと人が循環する場所』です。50年前に異国で使われていたビンテージ家具を今の人が使ったり、ギャラリーが目的で来た方が別のお気に入りのアイテムに出会ったり。僕たち自身もお客さまとお話する中で、ライフスタイルのヒントをもらうこともあります。この店が、ものや人が出会って、感性が交差する場所になったらいいなと思っています」と山岸さん。


「循環する場所」というコンセプトは、お店のレイアウトにも影響している。置かれているアイテムはビンテージのものがあれば新しいものもあるし、普通だったら空間がはっきりと別れてしまうカフェやギャラリースペースも混ざり合っている。境界がないから、歩き回るのがおもしろいのだ。


「ものはいらいない」とお客さんに言われて


日用雑貨店・家具店としてスタートした「pace around」がカフェを始めたのは2年前。きっかけは、常連のお客さんの一言だった。


「60代の方なんですが、『もう、ものはいらない』とおっしゃったんです。うちは雑貨店なので、ものを買ってもらえないなら、これからどうしたらいいんだとショックを受けてしまって……。お客さまには年配の方も多いのですが、みなさん、気に入ったアイテムだけを残してものをどんどん手放しているんです。

だけど、『ものを買わない』という方にもお店に来続けてもらいたい。それなら、『過ごしてもらえる場所』を作ろうと思って、カフェを始めたんです」




それからは、雑貨を買いに来る方だけではなく、コーヒーを飲んで、本を眺めて、世間話をして、パンやワインを買って、帰りにふらっと店内を一周するというお客さんが増えたという。その中には、「ものはいらない」と言った常連さんも。


「何気なく店内で時間を過ごしてもらううちに、ふと気にいったアイテムを見つけて買ってくださったり。そういう、ものとのフラットな出会いをしてもらえるのがすごくうれしいですね。

『過ごす雑貨店』を目指したことで、『売れ筋を置かなきゃいけない』という考えから自由になって、自分たちが本当に良いと思えるものだけをお店に置けるようになりました。居心地のいい場所を作るために、できることはまだまだあるなと」


1つのアイテムが、暮らしを変えることもある


ときにはお客さんの自宅に招かれ、おもてなしを受けることもあるという。地元の方のライフスタイルを学ぶことが多く、「好きなものを使う暮らし」の魅力を自ら実感することも。


「この前、妻がほしがっていたビンテージのルクルーゼの鍋を買ったんです。それが我が家に届いてからは、まず眺めているだけで楽しい。スーパーに行っても、あの鍋を使うのに何を作ろうって考える。今までこんなことなかったんですけど、道具1つ変わるだけでこんなにも暮らしが変わるのかと。ものが持っている力ってすごいなと、改めて思いました。


1つの鍋がきっかけで料理が好きになったり、1つのスコップがきっかけで園芸の仕事に就いたり。ものがきっかけで暮らしが変わることってあると思うんです。僕たちはそういうアイテムを扱っていきたいなと思います」


アイテムがこの場所から旅立っていったあと、新たな持ち主の元でどのように使われていくのか。"お買いもの"の先のストーリーまでつい想像してしまうのも、「pace around」の店内を歩き回るのが楽しい理由の1つだ。






pace around

長野県北佐久郡御代田町塩野400-158

10:00-18:00、水休

http://pacearound.com/

pace aroundのショーケース一覧を見る



撮影:菅井淳子 取材・文:村上佳代


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