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​使い古されたレースに第2の命を吹き込むフランスのクリエイター

2016.12.12



昔ながらの素朴なレース編みを使った雑貨で、ポエティックな世界観を表現するブランド「maillO(マイヨ)」。色も形も大きさもさまざまなカゴが注目を集め、人気の雑貨屋さんで目にするのはもちろん、洋服ブランドのショーウィンドウのディスプレイなどでも見かけることが多くなりました。ナントから電車で30分ほどのところにある、クリッソンという小さな町に暮らすクリエイターのヴェロニクさんのアトリエにお邪魔してきました。







レース編みへの情熱はおばあちゃんとお母さんゆずり




物心ついた頃にはもう、手仕事が大好きだったというヴェロニクさん。物作りに惹かれたはっきりとした理由はわからないけれど、「きっと、家でよく手作りをしていたおばあちゃんとお母さんの影響が大きかったはず」と彼女は言います。

手編みのセーターや手縫いの洋服もよく作ってくれたけれど、特に記憶に残っているのはかぎ針を使った「crochet(クロシェ)」と呼ばれるレース編み。幼いときから、その繊細なモチーフや手触りが好きでたまらなかったそう。



パリとレンヌで応用美術を学んだのち、子供服のテキスタイルデザイナーとしての道を歩み始めます。仕事を続けていく中で、ニット専門のデザイナーとなり「ケンゾー」や「クリスチャン・ラクロワ」、「クロエ」、「ミッソーニ」のキッズ用ニット服を手がけました。

布から作る洋服とは異なり、ニットのデザインはまず糸の素材や太さ選びから始まり、模様編みのスタイルを決めてようやく形を作ります。彼女の遠い記憶の中にあった「編むこと」への興味や情熱が、自然とこの道に進ませたのかもしれません。


きっかけは友人が誘ってくれたクリスマス・マーケット





8年間のニットデザイナーとしての経験を生かして 、2011年、フリーランスになったヴェロニクさん。さて、これから何をしようか…と考えていた矢先、ファッション業界の友人から「クリスマス・マーケットに参加してみない?」と誘われました。フランスでは、12月になるといたるところに「Marché de Noël(マルシェ・ド・ノエル)」と呼ばれるマーケットが立ち、プレゼントを探す人たちがこぞって訪れます。気の合うクリエイター仲間が集まって、お店やイベントスペースでマーケットを開催することも多く、ヴェロニクさんはせっかく声をかけてもらったからと、気軽に参加することにしました。


とはいえ、具体的なアイデアはなかったので、出店が決まってから何を作ろうかと考えたそう。「昔ながらの伝統的なものを使って、新しいプロダクトを生み出したい」という気持ちだったヴェロニクさんの目に留まったのは、家にあったレース編みのテーブルセンターでした。使っていないレース編みのクロスはたくさんあったので、これを何かに変身させよう!と考えました。



洗礼式に欠かせないレース編みの小さなカゴがヒントに





昔、おばあちゃんがよく作っていた小さなカゴを思い出しました。かぎ針で円状に編んだレースをボウルの形に固めたかわいらしいカゴは、赤ちゃんや子どもたちのために行われる洗礼式に欠かせない品物です。


それは、式の招待客に必ず配られる「ドラジェ」という砂糖菓子を入れるためのカゴ。ちなみに「ドラジェ」は、アーモンドなどの木の実を砂糖でコーティングした純白のお菓子で、結婚式などでも配られるお祝いの品です。それを入れるカゴも、もちろん純白のレース編みで作られています。




フランス人が抱く「レース編み=純白」というイメージ、そして残念ながらちょっと古くさくてダサいという印象をくつがえすべく、彼女はそれをカラフルな色に染め上げ、いろいろなサイズのカゴを作ることにしました。


ちなみに、ヴェロニクさんは糊を使ってカゴを固めていますが、おばあちゃんが手作りしていた頃は、なんと砂糖水を使っていたのだそう。「だから、カゴをなめると甘くておいしかったの」とヴェロニクさんは懐かしそうに話します。


初めてのクリスマス・マーケットは予想以上の大成功に終わりました。なかでも、蛍光ピンクにペイントしたものは特に反響があり瞬く間に売れてしまい、彼女のなかで「レース編みをモダンな雑貨に変える」というコンセプトが固まりました。





その後、ヴェロニクさんはいくつかのショップで自分のプロダクトを置いてもらいそこでのポジティブな反応を見て、6ヶ月後には本格的にビジネスとしてスタートさせることにしました。カゴだけでなく、風船を型にして作る丸いガーランドやランプシェード、古いボトルを使った花瓶など、インテリア雑貨としても魅力のあるプロダクト制作を発展させていきました。

素材集めはフリーマーケットや骨董市、ガラクタ市に足繁く通ってレース編みのテーブルセンターやクロス、ブランケットなどを見つけます。最近では、友人たちが手頃なレース編みを見かけると、買って送ってくれるそう。かさばるものではないので、フランスのいたるところから送ってもらうこともでき、素材としてはとても便利だと言います。

「古いものや伝統的な技術を生かして、現代の暮らしに提案したい」という考えから、自分でレースを編むことはありません。あくまでも、使い古されてしまったレース編みに第2の生命を吹き込むことが、彼女の大切なコンセプトです。それにしても、彼女のアトリエに積み置かれた大量のレース編みを見て、こんなにもたくさんのレース編みが昔から作られていたのか!と驚きました。

基本的に1枚のレース編みをそのまま使うようにしていて、特定の形に切ることはありません。だから、素材の大きさや形をじっくり見て、何に変身させるかを考えます。例えば、楕円で両端が尖った変わったデザインのものは、翼のように見えたので、鳥の形をしたガーランドに。ボトルは、細長い首の部分、ぽってりとしたお腹部分、そして底の部分を別々に固めて、最後に組み合わせています。雲の形のオブジェも、複数枚のレースを組み合わせて、まるで彫刻するみたいに形を整えているのだそう。


「これから作ってみたいものは?」と聞くと、「商品だけでなく、セノグラフィーのように大きな空間を使って世界観を作り上げてみたいわ」と語るヴェロニクさん。すでに、パリ生まれの子供服「ボントン」やおしゃれなパリジェンヌのマストブランド「デ・プチ・オ」のショーウィンドウのディスプレイを手がけ、今後はますますそういったコラボが増えそうな予感。「ボントン」の青山店がオープンした際にも、彼女のオブジェがディスプレイされていたというので、目にした人もいるかもしれませんね。

ヴェロニクさんの手にかかると、古びたレース編みがまるで息を吹き返したようにパッと輝いて、懐かしさと愛しさ、そして新しさを帯びて見えるのが不思議です。伝統のレース編みが、どんな形に変身していくのか・・・彼女のこれからの活躍が楽しみです。



■maillO(マイヨ)
公式サイト: www.maillo-design.com
※オンラインショップでの購入&日本への発送可。

■著者プロフィール
Tricolor Parishttp://tricolorparis.com
トリコロル・パリはフランスに暮らす荻野雅代と桜井道子、ふたりの日本人からなるユニット。パリ関連のガイドブックを執筆・撮影するかたわら、2010年にスタートしたサイトにて、パリのおすすめショップやレストラン、イベント・観光情報はもちろん、フランスのニュースやパリの天気を服装で綴る「お天気カレンダー」など、独自の目線で「フランスの旬」を日々発信している。

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