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​紅茶はピラミッド型がイチバン? 国民的ティーバッグ「PG Tips(ピージーティップス)」[イギリスの定番品]

2016.8.19


イギリスの会社のキッチン戸棚の中に入っている典型的なもの。ネスレの業務用インスタントコーヒーの巨大な缶、濡れたままのスプーンでかき混ぜられ一部が茶色くなった白砂糖の瓶、誰かの朝食用コーンフレークが数種類。それから、「PG Tips(ピージーティップス)」。

イギリス人が愛飲するティーバッグの2大ブランドは、トワイニングでもリプトンでもない。「PG Tips」 と「Tetley(テトリー)」である。

「PG Tips」はビクトリア朝生まれの紅茶商、アーサー・ブルックが1930年代にマンチェスターで立ち上げたブランドだから、もう90歳近いことになる。日本でも紅茶好きな方なら、このアーサーの会社、 「Brooke Bond (ブルックボンド)」の名はご存知かもしれない。

ブルックボンドはインドでの紅茶生産拡大の大波に乗って創業直後からメキメキと頭角を現し、20世紀半ばまでに世界でも有数の紅茶商に成長した。その後、近代化の中で合併を経験し、コングロマリットのユニリーバによる買収、という流れになる。

ユニリーバ化した後の大きな変化は、「ピラミッド型」ティーバッグの導入だ。ピラミッド型、つまり三角形のテトラ型ティーバッグである。日本ではすでに1980年代に世界に先駆けて生産されていたらしいが、ユニリーバはこのテトラ型ティーバッグを1992年に「イギリス初ですよ。エッヘン」という感じで発売し、「pyramid」で登録商標までとっている。


ピラミッド型ティーバッグの秘密





このティーバッグの形。


商品としてはスクエア型が最も一般的ではあるのだが、イギリス紅茶と言えば「PG Tips」のピラミッド型と、競合ブランドである「Tetley」のラウンド型(上の写真の囲み内)のイメージが強い。なにせこの2つのブランドが市場のほぼ半分を占めている。個人的にはラウンド型のティーバッグが好みだが、紅茶エキス抽出の効率性という観点からは、どうやらピラミッド型のほうに軍配が上がるらしい。科学的根拠はあるのかって? それがあるらしいのだ。


2年ほど前、「PG Tips」があるテレビ・コマーショルを放映して物議を醸した。太っちょのコメディアン、ジョニー・べガスがブランドキャラクターのモンキー(冒頭の写真に写ってる方)に言う。「なぁモンキー、君はいつもPGにかなう紅茶はないって言ってるよな。もしそれがウソなら……」。そこでモンキーはおもむろに実験を始める。


ピラミッド型のティーバッグとラウンド型のティーバッグをガラス製カップに入れ、沸騰したお湯を同時に注ぐと……あらら、ピラミッド型ティーバッグのほうが、より早く、より濃く紅茶エキスを抽出している!? ここでモンキーはすかさず一言。「ピラミッド型のほうが、茶葉が自由に動きまわる余裕があるだろ。だから完璧なCuppa(お茶)になるのさ」。このコマーショルを見て色をなした「Tetley」は、英国広告基準局に即クレーム。しかし第三者機関による調査の結果、「広告内容に問題なし」と、PGは晴れて身の公正を証明した。


確かに何度実験しても、ピラミッド型のティーバッグのほうが濃い紅茶を素早く作ることができるのは間違いない。さらにPG のスポークスマンは「ラウンド型の紅茶を製造しているのは『Tetley』さんだけじゃないでございましょう。あくまで一般的なティーバッグとして比較させていただいたのでございます」と、シレっとしたものだ。


しかし敵はもはや紅茶のライバル会社だけではない。コーヒーや緑茶、その他ハーブティーなどヘルシーオプションが台頭し 、イギリスのホットドリンク市場はかつてないほど多様化している。紅茶業界が抱える危機感は、「PG Tips」の最近の宣伝文句に端的に表れている。「Keep it tea」。ニュアンスとしては、「飲むならやっぱり紅茶」という感じだろうか。「tea」を「simple」 に置き換えてみると、なんとなくニュアンスが伝わると思う。紅茶はイギリス人にとってほっとする飲み物であり、生活の基本なのだ。


PG Tips オフィシャル・サイト


■著者プロフィール
江國まゆ(えくに・まゆ)
ロンドンを拠点に活動するライター、編集者。出版社勤務を経て、1998年渡英。英系広告代理店にて翻訳ローカライズや日本語コピーライティングを担当し、2009年からフリーランス。趣味の食べ歩きブログが人気となり『歩いてまわる小さなロンドン』(大和書房)を出版。2014年にロンドン発の情報コミュニティeマガジン「あぶそる〜とロンドン」を創刊、編集長として「美食都市ロンドン」の普及にいそしむ。
ホームページ:http://www.ekumayu.com
あぶそる〜とロンドン:http://www.absolute-london.co.uk

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