FOR USER
App Storeからダウンロード
FOR SHOP
出店する
出店する

THE WORLD ELEMENTS

Follow Us

Other

サインアップ

​"メイド・イン・地元"を貫くバッグ|『FFIL(エフ エフ アイ エル)』クレール・バタルディエールさん[フランスのクリエイター]

2016.11.2



ユニークなプロダクトや、それを生み出す海外のクリエイターを紹介するこの企画。

今回は余計なものをそぎ落としたシンプルなデザインと色合わせ、バッグを縁取るスナップボタンを外せばあっという間に平らな一枚革になるというコンセプトが特徴の『FFIL(エフ エフ アイ エル)』のバッグ(ちなみに、仏語だとエフ エフ イ エルと発音)です。

デザイナーのクレールさんに「かさばらないから収納もラクだし、くるくる巻いて旅行中の予備バッグとしてスーツケースにも入れられて便利ですね」と言うと、彼女は少し考えてから「使い勝手の良さはもちろんだけど、実は、このスタイルにたどり着いた本当の理由はほかにあるの」という意外な答えを返してきました。

え、どんな理由?と好奇心をくすぐられ、クレールさんのアトリエにお邪魔していろいろとお話をうかがいました。


かつて繊維産業で栄えた町Cholet(ショレ)。地元の工場に宝の山が眠っていた!









有数の実力派デザイナーを排出するパリのデュペレ応用美術学校を2004年に卒業したクレールさんは、その後、生まれ育った町に戻ります。彼女の地元Cholet(ショレ)は、19世紀から多くの紡績工場や繊維工場が並び繊維産業で栄えた町。


靴やバッグなどの製造で知られ、たくさんの職人たちも暮らしていましたが、コストの安い海外製造の波にのまれその勢いは少しずつ減少し、今では数えるほどの工場しか残っていません。


ある日、生地メーカーの倉庫を訪れた彼女は、そこに膨大な量の布地が山積みされていることに気づきました。「オートクチュールのメゾンのために作ったサンプルや少しキズありの不良品、品質は良いのにもう2度と使われることのない宝の山が眠っていて、まさに"アリババの洞窟" を見つけた気分だったわ!」と語るクレールさん。こんな近くに素晴らしい素材があるのに、生かさない手はない!と考えた彼女は、早速レザー生地を買い付けてバッグのデザインに取り掛かります。



メイド・イン・フランスはお金がかかる…それでも地元の技術を守りたかった









上質な素材をリサイクルし、地元で今も活動する数少ない工場を探し、腕利きの職人さんとともにバッグの製作に動き出したのが2007年のこと。生地のデッドストックはある程度安く手に入れられるものの、すべてをフランス製にこだわってしまうと、製作過程でやはり莫大なコストがかかってしまうのが問題でした。


「クリエイター仲間たちからは、コストが6〜8倍低いスペインやポルトガルに外注すべきだって何度も言われたけど」とつぶやくクレールさん。それでも彼女は、なんとしても「メイド・イン・地元」にこだわり、生まれ故郷のショレという小さな町が長年大切にしてきた技術を生かしたいという信念を曲げることはありませんでした。


そこで考えたのは、最もコストがかかる裁断・縫製・組立ての部分をできる限り省略すること。試行錯誤を繰り返しながら、同じ型で裁断したレザーからトートや巾着型など3種類の異なるバッグができるようにデザイン。スナップボタンによって購入者が自分でバッグの形を作り上げるスタイルで、裁縫と組立ての作業も大幅にカットすることができました。



たどり着いたのはシンプルな縫製だけど、使い勝手のいい斬新なプロダクト







こちらはブランド立ち上げ当時から人気の定番ポシェット「Enveloppe」。どんな風にバッグの形にしていくのかを見せてもらいました。スナップボタンは軍事用の服や鞄などに用いられる丈夫なもので、ちょっとした衝撃で外れることはないそう。底の部分にあるマジックテープを合わせれば、自然とフォルムができ簡単にスナップを留めていけます。


「横の折り返し部分も長めにとってあるから、中の物が滑り落ちる心配もないの」と、クレールさんは試作を重ねて作りあげたアイテムに自信を見せていました。






手で持ったり斜めがけにしたりはもちろん、ストラップを胸の前でV字のようにしてかけたり、リュックのように背負えば、両肩でバランスが取れてラクチン。しかも持ち手部分がしっかり閉じるのでスリ対策にもなります。「V字のスタイルは、若いママがこんな風にして使っているのを見て目からウロコだったの。自分が作ったバッグに新たなアイデアがプラスされるのは本当にうれしい!」






まるで忍者の手甲のような手袋も「IIFL」のロングセラー商品。こちらも裁断と縫製をできる限り簡略化するように考え出したデザインで、手の甲に置いてゴム紐をぐるりと1周させてボタンに引っかければOK。「上の部分を折り返して中のファーを見せてもかわいいのよ」。


かつてのガレージがクリエイターたちのアトリエに変身…そして見つけた新しい「地元」







海に関連した仕事をしているご主人の都合もあり、数年前にショレから車で1時間半ほどのところにあるサン・ナゼールという海辺の街に引っ越してきたクレールさん。「昔から造船業が盛んで、いわゆる"文化的"な香りのしない街という印象が強かったけれど、ここ数年で若い世代が増えて、クリエイションにたずさわる人たちもどんどん多くなっているの」。



今回の取材でお邪魔したクレールさんのアトリエは、かつて自動車整備工場のガレージとして使われていた場所。自然光が降り注ぐ吹き抜けの高い天井に広々としたスペース、そっけないスチールの梁や柱が張り巡らされた空間には今もガレージの名残があります。「全部で10軒ほどのオフィスやアトリエがあって、帽子デザイナー、ウェブデザイナー、画家、古着屋、そしてサーカスの団体まで、職業もさまざま」。天井を見上げると、サーカス団がアクロバットの訓練に使う布が天井から何本も吊るされていました。




「このサン・ナゼールの街では新たな出会いもあった」と話すクレールさん。「EAST」という軽・中度知的障害者のための労働支援団体で、縫製部門を担当するアトリエチーフの考え方に共感し、彼らの技術力にも信頼を置き、現在はスナップボタン付けなどの工程を依頼しています。






この団体と仕事をするようになり、デザインにもある変化があったと言います。「どうしても出てしまうハギレを使って、チャームを作るアイデアが思い浮かんだの。作業はさほど難しくないし、間違っても何度もやり直しがきくものだから、障害者の職人さんたちも失敗を恐れず楽しんで物作りに取り組んでもらえると思って」。


とにかくチャレンジすることが好き、というクレールさん。人と土地のつながりを大切にしながら、「再生」と「地元」というコンセプトを大きく発展させて、これからも私たちを楽しませてくれそうな予感がします。



FFIL(エフ エフ アイ エル)公式サイト

オンラインショップでの日本からの購入&日本への発送可。

■著者プロフィール
Tricolor Paris
http://tricolorparis.com
トリコロル・パリはフランスに暮らす荻野雅代と桜井道子、ふたりの日本人からなるユニット。パリ関連のガイドブックを執筆・撮影するかたわら、2010年にスタートしたサイトにて、パリのおすすめショップやレストラン、イベント・観光情報はもちろん、フランスのニュースやパリの天気を服装で綴る「お天気カレンダー」など、独自の目線で「フランスの旬」を日々発信している。

コメント 0
THE WORLD ELEMENTS この機能を利用するためには、App Storeでアプリをダウンロードする必要があります。 App Storeからダウンロード
閉じる
OTHER STORY
Loading...
ITEM RANKING
Loading...
SHOWCASE RANKING
Loading...